2015/07/16

TJLA FESTのお知らせ





先日アナウンスを行いました。たくさんの情報拡散協力、本当に感謝しています。

今回はドイツのポストブラックDownfall of Gaiaの来日をサポート&以前から交流のあったTokyo Jupiter Recordsと組んで『TJLA FEST』という企画を立ち上げました。
大きな目的としては↑にあるとおりですが、やっぱり我々のサポートしているシーン自体はまだまだ日本国内では浸透していなくて様々な問題に直面することが多々あります。
で、その中のひとつが「フェス」だと思っています。
他ジャンル、たとえばメタルフェスだと大小既に国内で定着しているものがあるしアンダーグラウンドでも、ZDRやはるまげ堂さん主催のものや、ハードコア界隈もたくあんあるのだけれど、よく考えたら「ネオクラスト」とか「ポストブラック」とか、このあたりのサブジャンルって無いよね。「激情」「ポストハードコア」に関していえば既にSay Hello To Neverの『Summer Meeting』はあるけれど、いつまでも先輩の背中みててもだめでしょ。我々は挑戦するべきでしょう。

Tokyo Jupiterも何度か海外バンドの招聘を行っていて、その中で問題になってくるのってやはりリアルなところで収支だったり、あとはもっと多くの人に見てもらう機会が欲しいところだと思います。海外のツアーだとDIYツアーの中でも、フェスを挟んだりして回って行くパターンがあって、まぁそれだけ海外では各地で小規模フェスが確立しているということなんだけど、そうやって各地に定着しているイベンターがいるから育まれているものってあると思います。海外とか地方のバンドもそのフェスを組み込んでツアー考えたりできるような。もちろん考えてることはそれだけじゃないんだけど。
たくさんのお客さんが混ざり合う様なイベントになれば良いなと願ってます。なので上記のような「激情」とか「ポストブラック」「ポストメタル」「ポストロック」とか、そういう音楽だけに囚われずに、自分達にとって刺激的な音楽性を持ったバンド達が集まってます。一見メチャクチャな組み合わせにみえるかもしれませんが、そのあたり狙いはちゃんと考えているので伝わる事を信じています。

一過性のイベントじゃなくて次回、その更に次へとこのフェスを継続していきたいと既に考えています。来週以降はTJRサンからの発表があるので続報お待ちください。

2015/06/27

初期衝動と承認欲求を超え、疑似創作を超えるために聴く音楽。それはB'z。


いや〜〜〜〜〜少し前になりましたがB'zのライブに行って来ました。
いや、正確には「B'zのLIVE GYM」に行って来ましたよ。
場所は味の素スタジアムという超ビッグ案件、最新作『EPIC DAY』のツアーということもありましたが、稲葉さんも50歳だしいい加減みておかないといかんだろということで急遽チケットを入手し全く予習もせず相変わらず『LOOSE』周辺を聴きなおしただけで当日を迎えました。

ライブのセットリスト的には往年のヒット作を連発するスタイルではなく大半が新曲だったのでなかなか不完全燃焼感はありましたが、それでも「YOU&I」や「love me, I love you」「ZERO」などの90'sソングをやられた瞬間にはテンション上がらざるを得ませんでした。はっきりいって音響はクソそのものでしたが、ときおり聴かせる静かな曲でのTAKのギタートーンは本当に最高以外のなにものでもなかったです。全体的にはダサめのロックナンバーが多くて、かつての90'sのB'zを期待していた人にとっては残念な内容だったのですが、別の意味でB'zの格好良さも発見したように思います。

B'zの歌詞ってみんな結構ネタ的に扱っているように思うんですが、結構この歳になって改めて聞くとぐっとくる内容のものが多いですよ。
それは別に彼らが歌っている内容を変えたわけじゃなくて、B'zが流行っていた当時聴いていた自分はまだ子供だし、歌っている歌詞の意味はわかってもそれにシンパシーを抱ける程"単純に人生経験が足りなかった"んだろうと思っています。むかし「ワケ分かんねえな...」と思ってきいていた歌詞も今では不思議と共感できたりします。

『Pleasure '91〜人生の快楽〜』とかね。いま歌詞読むだけでヤバいです。
周りが就職決めたり、父親になっていったり、そんな中で「胸を張って生きるしかない」って歌いながらバンド続けてる稲葉さんの心中察するだけでぐっときませんか。
こないですか?
そうですか...おかしいですね....

基本的にこの人の歌詞は所謂"back in the day"モノなんだなぁと気づいたのは最近のことで、長距離走者として音楽業界を走り続けている人だからこその哀愁が詰まっています。「ギリギリchop」とかもそういった視点で聴けばそれなりにぐっとくるポイントなんかもあるはずです。

で、自分が一番良く聴いていたアルバムが『LOOSE』('95)なわけですが、このアルバムもこの歳で改めて聞くと相当にヤバい内容です。
まず1曲目『spirit loose』ですが、TAKのギターカッティングと稲葉さんのシャウトのみの曲。B'zはこの二人で成立するんだという宣言ですね。
2曲目『ザ・ルーズ』は稲葉さんの家庭教師時代の話が元になっていて、まぁそういうのはB'zネタでは良くある話だからとくに重要視していなかったんですが、次の3曲目が『ねがい』なんですよ。家庭教師しながらも、バンドをやりながら「ねがいよ叶えいつの日か」と歌うわけです。「そうなるように行きてゆけ」と。誰に歌うのか?もちろん自分自身に歌うわけです。もうね、ブルーハーブでいうところの『未来は俺等の手の中』ですよね。
そして稲葉さんはTAKに出会いを夢を叶えるわけですが...アルバムの次の曲、4曲目が『夢見が丘』っておいおいおいおいおいおい。その後の流れは、This Is 90's B'zな全曲捨て曲無しの完璧な流れなんですが、終盤の『BIG』で「明日の俺は今日よりもビッグ」と歌い、『drive to MY WORLD』では「ドライブしよう知らない世界へ」と歌います。そう、まだまだ新しい領域へとチャレンジしようとする気概も見せつけています。

(中略)

初期衝動や承認欲求といった感情は創作意欲を掻き立てますが、それはイコールの話じゃない。
誰かの文脈を借りて、それを継ぎ足して行く様な疑似創作もそこにはない。
周りに誰もいなくなってもそれを続けられるか。
彼らの賞味期限は切れているから、もはや流行とは無縁だし、時間がたてばたつほどダサくなっていく。そんな自分達の音楽と一緒に走りながら、それでもライブで歌い続ける。
ライブでの新しめの曲達は本当にダサかったですが、ああこれがロックなんだなぁと思いました。年配の客も多かったですが、彼らもB'zの中に自分を観ているのかもしれません。

最近いろいろな方と話す機会に恵まれ、やはり続けることの意味は思っていた以上に大きいような気がしています。
一瞬で燃え尽きるやつのほうが格好いいのか。
長く音を響かせていたヤツのほうが格好いいのか。
僕は長く続けている人へのリスペクトの仕方を学んだ様にも感じます。
そして長く続けている彼らは、新しく出て来た僕らのことを厳しい目で観ている。彼らは多くの人が出て来ては、勝手なことばかり言ったあげく消えて行ったのを見ているから。
要は情熱を試されているんだなと。
逆に、情熱を正しく燃やし続けていれば今は遠い人達とも繋がれるような気もしています。
グッドラック。



余談ですが、僕は『ウルトラソウル』の意味を遂に理解しました。
あれはライブにいかないと理解できないでしょう。


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2015/05/26

『音楽の歴史を紐解く会』を終えて

急な告知にも関わらず来てくれた皆様ありがとう。
ポレポレポレのネオクラ座談会終了しました。

講義自体は駆け足だったのでざっくりとした内容でしか話せなかったけれど、
ポジティブな反応があって、やはりリアル最高という感想です。
音楽性だけの話でなく、きちんと地域性、歴史性、そしてUS/UKの主流クラスト勢に対してオルタナティブなスペイン勢の存在...etc、さまざま文化的側面からヒルズ土屋並に語り尽くしました。あと、配布したCDRはTragedyに始まりsekienに終わるという、かなりメッセージ性の強いものにしておいたのでこちらからはそのうち歴史が書き足されるだろう。

講義で頂いた質問のほうはなかなか面白く、考えさせられる内容が多々アリ。
講義終了後も朝まで残る方多数で、途中からはよくわからんヘアメタルのPV鑑賞会になっていましたが... そういった予期せぬ結末もリアルでのイベントならでは。
なんだかなー。
結局音楽を伝えるというより、夢中になっているものの熱を伝えるってことなんだろうなと思いましたよ。情報を伝達して、拡げていくっていうのはメジャーもアンダーグラウンドも方法は変わらない。ただアンダーグラウンドもプロフェッショナルであるべきだなとも。

ネオクラスト講義については後日冊子などにまとめてスッキリしたいところですが
正直そこまで暇なわけでもないので、どうなるかわかりません。
時間と金をください。




帰ってからJOURNEYが頭から離れない。



2015/05/19

5/22(金・夜) 3LA座談会のお知らせ(仮)

以前から告知していましたが、確定しました!
江古田ポレポレポレにて座談会やらせていただきます!

音楽の歴史を紐解く会  〜ネオクラスト編 by 3LA〜

以下、変更あるかもですが現在決まっている内容です。
よろしくおねがいします。

5月22日(金)
start:21:00頃〜場を見計らいつつスタートします。
end:2時間弱くらい(?) 残る人は朝までトーク

料金:イベント自体は無料ですが入場時ドリンクオーダーご協力ください。 (2drink 1,000円)
人数:15名限定 (※物理的に席の限界もありますので是非ご予約ください)
場所:江古田ポレポレポレ:練馬区旭丘1丁目67-6 2F
アクセス:西武池袋線・江古田駅から徒歩1分 or 都営大江戸線・新江古田駅から徒歩10分くらい
予定時間:2時間以内(質疑応答含む)
予約したい場合:akihito.mizutani@longlegslongarms.jpまでメールください。(ツイッターのDMなどでも可)

内容(予定):
「ネオクラスト」とは何なのか、そこから何が見えるのか
3LAミズタニが熱く徹底集中講義!

・ネオクラストとは何なのか?
・発見!世界のネオクラストバンド紹介
・歴史:ルーツを辿ろう
・00年代中盤〜終盤に掛けてのムーブメントを再検証
・そこから何が見えるか
・我々が発信すべきものは
・3LAからの提言
・Q&A (無かったら事前に募集していた質問等を展開します)

過去・現在・未来を見つめ、音楽を聴き、酒を飲みつつ雑談します。
※内容は脱線する可能性が大いにあります。

Q:江古田ってどこ?
A:東京です。池袋から電車ですぐです。アクセスも良いです。

Q:江古田ポレポレポレってどんなところ?
A:ミュージックバーです。店内かなりアットホームな雰囲気(写真下記参照)、昔のファンジンも豊富で国内外バンドの貴重なインタビューを読み漁ることもできます。
今回の会は伊藤氏(killie/Say Hello To Never Recordings)プロデュースです。

Q:来ると何かもらえる?
A:私が選曲したネオクラストベストCDR(コメント付)を予定。でもせっかくなのでいろいろお話できると嬉しいです。

Q:ひとりで来るのが心細いんだけど?
A:コミュニケーション重視で臨みますのでご安心ください。(当方弱コミュ障)


2015/05/16

洋楽を聴いたことがない人に聴いてほしいスパニッシュ・ネオクラスト入門10バンド


うーん、フォーマットまで指定までされてしまったか。
今回はかなり制限があるけどがんばってやってみますか。



スペイン語がわからないからスパニッシュ・ネオクラストは聞かない!?そんなことを言っている方は人生損している!最近はパワーバイオレンスやブラックメタル系ハードコアなどが流行っていますが、やっぱりイギリスやアメリカのバンドだけにとどまっていちゃ良い音楽愛好家とは言えません!
特に若者には、スパニッシュ・ネオクラストに触れてほしい!若い時って音楽から得られる感情がたくさんありますから、スパニッシュ・ネオクラストを聞いてさらに人生に良いものを見出してください!

【洋楽初心者にオススメのスパニッシュ・ネオクラスト・バンド10選】

■Ictus
スパニッシュ・ネオクラスト・ツウなら知っている人も多いバンドです!これを知っておくとスパニッシュ・ネオクラスト好きには話が通じます。イギリス、アメリカや欧州の一部だけが音楽シーンの話題の大部分を占める中でスペインの1地方から自分達の思想を世界に提示したIctus。バンド初期は荒々しいデスメタル感のあるクラストであったが、作品毎に劇的な進化を果たした。ラスト作であり反帝国資本主義、矛盾を孕むアメリカへの怒りを圧倒的な演奏で描き出した1曲約40分の究極のネオクラスト組曲『Imperivm』をリリースした後、ツアー中の事故により無期限の活動停止となった。



■Madame Germen
全俺大ヒットバンドで、悲壮感漂うギターとメタリックなアンサンブルが特徴的。Ictusとも一部メンバーが重複しておりアプローチはIctusとも近い気がするが、メロディックで整然と構築されたクラシカルな構成美を持ち味とするIctusに対してMadame Germenはよりプリミティブで荒々しい原始的なエモーションを大事にしていたバンドだと思う。歌詞も耽美的な気がします。Madame Germenは好き嫌いがあるので、好きな人に対しては受けが良いでしょう。興味のない人に対しては全く興味ないようですね。



■Ekkaia
スパニッシュ・ネオクラストが好きな方にとってはもう定番!熱狂的なファンに対しては「知っていて当たり前」のバンドです。活動時期は90年代の終盤からで、メンバーはそれぞれデスメタルやグラインドコア畑出身なのは意外。でもスパニッシュネオクラスト黎明期のバンドはみんなそんな感じでした。エモーティブな激情ハードコア要素とクラストをミックスさせた彼らのサウンドは、His Hero Is Gone,Tragedy等のバンド達から音楽的要素だけでなく反資本主義といった思想面での影響を大事にしており最後まで商業的なムーブメントに関わることなく活動しました。活動初期から「Neocrust」と呼ばれていたわけではなくその呼び名については常に議論の的となっていたように思います。活動停止から何年も経ちましたが、いま聴いてもかっこいいバンドです!



■Hongo
哀愁のある叙情メロディとドラマティックな展開、重低音を効かせたドラミング、野太い咆哮を響かせるボーカルが半端無く良い、バンド初期はEkkaiaやMadame Germenに近い雰囲気はありましたが、後にスラッジ化。「ネオクラスト」には様々なクロスオーバーの形があり彼らはスラッジ方面へと接近していったのです。重い鈍器でぶん殴られるようなギターリフが心地よく、勇気づけられます!遅くて重いバンドが好きな方におすすめです!



■SL'S3
メロディックで叙情的なメロディとエモーティブな絶叫ボーカルといったスパニッシュ・ネオクラストの伝統芸とも言えるサウンドを基軸に、ポストロック、クラスト、グラインドコアの要素を注入、そんなに定番ではないもののファンの多いバンドです!



■Das Plague
激情ハードコア・クロスオーバーなネオクラストですが、これまでのネオクラストとは一味違った味を出しています!レコードディガーを中心に人気を集め、今でもその音源の存在が都市伝説となっているBEST KEPT SECRETです!


↑音源持ってる方、連絡お待ちしています。

■Black Panda
モーターヘッドに近い感じのネオクラストで、別名「モーター・クラスト」とも呼ばれています!日本で知っている人は少ないかもしれませんね。だからこそ、知っていると「Black Panda聴くんだ!」と尊敬されるかもしれません。Madame Germen、NASHGUL、SL'S3のメンバーが在籍していましたが、メロディックな印象が強いネオクラストとはまた一味違ったアプローチをしているのが特徴です。


↑楽しそう。

■Okban
ポスト・ハードコア、オルタナ要素が特徴的な、世界中のネオクラストファンが認めているかっこいいバンドです!このジャンルの中でも歴史が古く、特異な経歴を持っているだけに一筋縄ではいかない楽曲センスが流石です。独自の音楽を作って行くうえで試行錯誤の末に行き着く先がたまたまネオクラストであっただけとも言えます。Ictusともスプリットをリリースしました。



■Leadershit
80代スラッシュ黎明期のような凶暴なギターリフとダークメロディックなクラストサウンドが合体、悲壮感に溢れる歌詞と曲をエモーショナルに表現しているバンドです。エモーショナルではあるが決して過度に叙情的なのではなく、ロックンロールの迸る熱気をそのまま音にしたような熱い演奏が素晴らしい。Madame Germen, Ekkaia, Cop On Fire, Disfaceなど有名バンドのメンバーも所属しているため、知っている方も多いでしょう。



■Khmer
スペインの若者なら知らない人はいない!ex.Ictus,ex.El Egoのメンバーが在籍する現行スパニッシュ・ネオクラスト。ブラックメタルの影響を感じさせつつもIctusの音楽性の延長線上にあるクラシカルな旋律は健在なので、若者におすすめです!



【一度は耳にしたことがあるような曲をピックアップ♪】
ネオクラストを好きになりたいなら!通販サイト3LAがおすすめ!このお店では、音源だけではなくコラムやインタビューなども掲載しているので、ネオクラストを知るにはおすすめです!
http://longlegslongarms.jp/

そこで一度は耳にしたことがある曲もたくさん出てきます。
聞いてみると「あ!これ知ってる!」となる曲ばかりです。

「どんなバンドでも聞くよ〜!」って人、かっこいいと思いませんか?でも、そうやって言う人に限ってネオクラストを知らない人が多い。どんなバンドでも聞くと言っておきながらネオクラストを知らないなんて恥ずかしすぎます!

友達との話でもきっと盛り上がる、聴いて心地よくなる定番バンドから、今はやりのバンドまで少しは聞いておくと、恥ずかしい思いもしないかもしれませんし、あなたの人生にプラスになるような音楽と出会えるかもしれませんよ!






......ないだろうなぁ。


追記:
「ネオクラスト」という呼び方にはやはり嫌悪感を抱く人も少なく無いようです。というより、シーンの内側でさえもそう呼ばれる事を嫌がっているリスナーも多かったようです。しかし当の中心にいたバンド達にとっては別にどうでも良いことだったようですね。彼らはただ自分達の好きなことを追求していただけでしたから。「emotive-crust」という呼称のほうが先だったかもしれません。2000年代前半の話なので、やはりEkkaia登場以後、ということになります。

自分もこの手の音楽を好きになった人間のひとり、それをもっと広めたいと思ってやっているのだけれど未だにさまざまな誤解が解けない。それはこれから先もそうだろうと思う。小さなサブジャンルがこうして少しずつ広がっていったのは善意の口コミが全て、どこにも持ち上げられずに生き延びて来た。それゆえに弱さ、脆さも感じる。戦争反対を表明するハードコア様のツイートに私の豆腐メンタルは傷つきながら、沈黙する。他人を理解しようとしないで世界平和は訪れるだろうか。無責任なレッテルのせいで迷惑を被るのは我々のほうだ。もう少し他者への理解を。

音楽産業の中心部から遠く離れたスペインの小都市からひとつのサブジャンルとして自分達の価値観を世界に提示し、大国への挑戦状を叩きつけたスパニッシュ・ネオクラストの先人達に愛とリスペクトを込めて。


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2015/05/10

Mr.Childrenから受けたトラウマをGrindに昇華して叫ぶBROILERというバンド

5/6の横浜GalaxyにてDaighila Japan Tourにてtwolowで出演させてもらいました。
基本的にブログでバンドやらライブやらについて書くつもりは無かったのですが、共演したBROILERの生き様が強烈すぎて忘れないうちに書いておこうと思いました。

とりあえずどんなバンドかは動画を参照してください。↓



紛うことなきグラインドコアです。
別名"大仁田コア"とも形容されるライブアクトは積極的に有刺鉄線電流爆破に突っ込んでいく大仁田厚の魂を継承した(本人は死んでないけど)スタイルであり底辺感剥き出しながらひたすら暴力的にステージ、フロアを転げ回る。しかし観客を笑顔にする彼らのライブアクトはある意味で癒しであり、アイドル的であるとも言えます。

メタリックなリフとギターソロを繰り出しているのは現Dirty Satellites(ex.LINE, ex.Mod Lung, etc)の矢田氏です。どんなバンドをやっているかというこんなバンドです。↓


全然違うじゃねえか!!!
でも矢田氏はこちらの界隈ではレジェンド的な存在で、レーベルも運営しており数々のバンドでシーンを切り開いてきた立役者でもあるのです。すごい。
光と闇、表と裏、陰と陽の話でいけばBROILERは人間の闇の部分を表現しているのかもしれません。人間には光の部分と闇の部分がある。彼のギターはそういったことを我々に教えているのかもしれません。どちらが本当の姿なのか?いや、どちらも人間なのである。

ブラストビートでバンドを支えるドラマーのHAGGYさんは調布市柴崎でラーメンHAGGYという店を経営しておられます。柴崎の表記が"XIBASAKI"なのでお察しですが、ラーメンの味のほうは暴力的なバンドサウンドから想像のつかない優しく繊細な味で美味しく、こちらもある意味人間の二面性を生き様で表現していると言えるでしょう。

ボーカルのKOSUKE氏はex.womb。
ステージとフロアを行き来しながら圧倒的な声量をキープし叫び続ける男。これにはマレーシアから来ていたDaighilaも大喜びでした。いったい何が彼を突き動かしているのか。それには彼の抱えている"Mr.Childrenのトラウマ"が大きく関係している....。
幼少の頃に自宅に侵入した男にナイフを突きつけられ大量のファミコンのソフトと共に誘拐された過去が、結果的に彼をメタルに向かわせる事になった。犯人の車中でかかっていたMr.Childrenのせいで(こういう音楽聴いている人間が罪を犯すのか...いや、桜井氏も背徳的なところあるけどな)今でもMr.Childrenに対してはトラウマを抱えており聴くと気分が悪くなるらしい。奪われたファミコンソフトを全て売らされたが無事解放された少年は"強くならなければならない..."と決意したという。それが彼をヘヴィメタルに向かわせ、紆余曲折を経て現在のBROILERがあるというちょっと出来過ぎた話に感動してしまい、今回のブログを心のまま誰も知ることのない明日に向かって書いてみました。

追記)
この記事を読んでコースケさんに敢えてMr.Childrenを聞かせるという事案が発生しています。

やめてあげてください!!




Mr.Childrenって略奪愛とか背徳的なテーマ多いですよね。

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2015/03/26

2015年の「上質な暮らし」ってこういうことかも〜ネットレコ屋の夢も希望も無い結末編〜



こんなツイートをしたせいで煽られています。
恐ろしい記事だ...。こんなファンタジーみたいな暮らしがどこかに存在しているのだろうか。

2015年の「上質な暮らし」ってこういうことかも
http://www.roomie.jp/2015/03/245491/
初めて来たお客さんの女の子にお薦めを聞かれたので、好みを聞いて、棚の上のレコードをレコメンド。 
うるさいうるさいうるさいうるさい!

↓以下が救いの無い現実

土曜、午前8時に目が覚める。昨日は深夜まで各方面にメールの返信をしていたので寝不足だ。明日のメルマガの準備ができていない...というか入荷物の音源をレビューすら書いてない。もう5分だけ寝ていたい。しかしやらなければならない。なんとか起き上がりコーヒーを入れるためお湯を沸騰させる。何がブルーボトルだふざけんな。しかし自分も良い豆にはこだわっている。鎌倉で仕入れた豆で一杯いれて朝飯の準備をする。コーヒーのお湯を入れ終わると、そのまま安売りのスーパーで大量に買ったパスタをゆで始める。今日も先週と変わらない一日の繰り返し。おしゃれなパジャマなんてない。ジャージで寝るんだ。

コーヒーを飲み。パスタのお湯が沸騰するまで少しだけ時間があくので顔を洗い部屋を片付け始める。が、すぐにお湯が沸騰するので掃除は常に中途半端に終わる。もう一週間洗濯物がソファを占領している。麺がゆであがった時点でパスタソースが無いことに気づく。今更買いに行っている時間はない。運良くツナ缶を発見したので麺つゆと胡椒とあえて喰う。パスタは麺なので実は麺つゆと合うのだ。近所のパン屋で買ってきたサラダコッペなんてものはこの世には存在しない。外食を出来るだけ避け、自炊のスキルを磨いて行く。
さっそく海外からの入荷物の封をあけ中身を確認し、LPの角が折れ曲がっていて凹む。無事だった荷物に関しては仕入元のレーベルに必ずThank youと御礼のメールをいれる。小さな取引だろうとそれは変わらない。アンダーグラウンドの流儀ってやつだ。この間の日本のレーベルの奴は音源を取り扱いして欲しいと言って来たが、他店舗で特典とかつくならあらかじめ情報を共有してくれと言ったらそれっきり連絡が来なくなった。何もウチにも特典をつけろと言っているわけではない。ただウチで買うより他で買ったほうがメリットがあるならレビューにもそう書くべきだろうと判断しているだけだ。他にも「政治思想や人種、宗教などについて偏見に基づく差別的な行為をしないこと。」「創作活動についての不満、失望などをSNS上など公の場所に公開しないこと。」などの取扱についての裏条件も存在している。これについて最近取り扱う話になったバンドには条件を共有するようにした。音源のレビューにとりかかろうとしても情報の少ないバンドに関しては裏付けをとってくるのも一苦労だ。そして入荷を決める前は良いと思っていた音源が良いものに聴こえなかったりすることもある。その逆ももちろんあるし、これには自分の体調やテンションも大きく関係してくる。なのでポジティブな精神を持続させていくことは大きなテーマとなる。今日はテンションが低くレビューも冴えない。1音源のレビューに何十分も掛かってしまう...。こうして自己嫌悪の輪が動き出す。気分が乗っても乗らなくても1週間単位でメルマガ分の入荷を作らなければならないから続いている、とも言える。なんとかレビューを書き上げてメルマガの準備を終わらせる。

昼まで少し時間が空いたので次にバンド関連のタスクに取りかかり録音したスタジオのテイクを聴きながらギターのフレーズを変えたり歌詞を考えたりする。facebookを開けば皆休日を満喫している。子供と遊んだり皆でどこかへ行ったり。俺は誰とも口をきかない日もよくあるよ。もちろんお客さんが来る訳はないし常連さんから電話がくることもない。2chで叩かれることはたまにある。
ランチ開拓のためにいちいちグルメサイトを開く事もないし、個人店を探索するほどの余裕もない。いつだって自炊が最高。卵を2つ割って、最強中華スープの素:ウェイパーを混ぜてとく。中華鍋に油をひいて卵焼きをつくり米を混ぜ込んで醤油で少し焦がす。これだけで最強のチャーハンが出来上がる。いかに飽きずに自炊を続けるコツは料理のバリエーションではなくシンプルさ、完成までの速度と片付けの手軽さにかかっている。

リリースするバンドの関係者や、個人的にやりとりしているバンドのメンバーやレーベル、翻訳者とはかなりの時間をかけて意見を交換している。ものすごい長文のメールをやりとりさせてもらっている人もいるし、スカイプでレーベルが提示すべき価値観や問題意識、日南響子についてなどの話題をディープに話しあったりもして、これが自分の思想やレーベルの文化の形成に大きく影響を及ぼしている。もちろん1円も利益を生み出すわけではないが、新たなアイデアは会話から生み出されていく。しかしひとつのメールの返信に2週間くらいかかることもある。インタビューの内容を考えたり翻訳をしたりする。

昨日までの入金を確認し荷物を梱包し発送する。発送はゆうメールがほとんどなので郵便局まで荷物をもっていかねばならない。これは少し時間がかかる。発送を完了し家に帰って発送完了のメールを出す。そこからまたメールを返信したりレーベルインフォをチェックして新たなバンドがいないか探したりbandcampを巡回したりする。が、レーベルのことばかりしていられないので山積みになっている自分の問題に取りかかる。正直それだけで一日が終わる。そして今日も何も解決しなかった、進まなかったと後悔して寝れずに無駄に起き続け消耗する。今日の俺の生活、ほんとうにこれで良かったんだろうか...。

何を正しいと信じて暮らして行くかはその人それぞれの宗教みたいなものだ。
正解などないからこそ「何が正しいのか」を考え答えを導き出し、信じて生きて行く。これはもう宗教のようなものなのだ。音楽を真剣に捉えてストイックに突き詰めるのも、サラリーマンが趣味と生き甲斐として仕事と両立して続けるのも、あるいは友人同士で気楽に遊ぶのも人それぞれの正義だし宗教みたいなものではないか。それを否定するのであれば、否定するだけの理由は持つべきだ。先日のクラムボンのインタビュー、

クラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」(http://realsound.jp/2015/03/post-2808.html)

に対してバンド界隈から批判的な意見が散見されたのが意外だった。Jのポップスだよ!異文化なんだよ!
そんなことを思いながら気づいたら今日は一枚もレコードが売れてない。俺はいったい、何が言いたかったのだろう....

一日が終わりに近づいた頃の私↓



ちなみに私はクラムボンは好きではないし聴かない。
あと理由のある批判はOKだと思ってる。
以下が一人暮らしの必須アイテム!


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2015/02/17

再開

tumblrは日南響子さんの画像を集めるだけのツールに成り下がってしまったので
blogspotに帰って来ました。

2014/10/02

葛飾北斎

先日上野の森まで葛飾北斎展を見てきた。
完全にストレートエッジな生活をしながら死ぬまで自分の絵を発展させ続けたストイックな人というイメージの北斎。アーティスト的なイメージで語られることが多そうだが、彼の芸術的価値を決定づけたのは誰か?という点について考えながら見ていた。それは19世紀にヨーロッパで流行したジャポニズムによるところが大きい。遠近法などの西洋絵画の表現技法を取り入れた浮世絵というものが幸運にも欧米の芸術史の文脈に少しばかり関係性を持てた故に北斎は評価されたのだと、そういうような印象を持った。浮世絵は貴族のものではなく町人文化だ。そして絵師、彫師、摺師の分業により大量生産可能な商品だった。国内で考えられる"アート"とはほど遠い代物だろう。それが西洋芸術文脈で評価され今に至っている。もし浮世絵が国内でしか流通しなかったら、その芸術性も何も評価されなかっただろう。芸術作品のディストリビューションと批評は重要だ。現在音楽アンダーグラウンド界隈に目を向けても日本には芸術を文脈に紐づけて語れる者がもはやほとんど存在していない。専門誌はただの広告、レビューもインタビューも特集も金で買われていく。全てが宣伝文句でそこには批評の精神は無い。「歴史的名盤だ」という文句を見かけても何故そうなのか、誰も語ろうとしない。それとも音だけで十分なのだろうか?ここ最近の考え事のテーマでもある。このテーマについて書かねばならない。ディストロ/レーベルを始めて遂に気づいた。我々は既に次のフェイズに足を踏み込んでいる。言うなれば「サウンドの向こう側」である。(ドヤァ)

北斎展11/9まで。
http://ukiyoe.exhn.jp/

2014/09/07

Jimdo Event「Music+Web」に参加させて頂きました。

ONA FESの前日に加川パイセン(respect!)のご紹介によりJimdo Event「Music+Web」に若い衆を引き連れて参加させて頂きました。「ミュージシャンの音楽活動に有効なWebサービスセミナー」というテーマでKDDIウェブコミュニケーションズ高畑哲平さんの音楽とSNSについてのお話を聞いたり、元19の岩瀬さんのソロ音楽を初めて聴く事が出来たりと普段のメタル/ハードコア界隈では経験できない体験をさせてもらいました。なるほど!と思う事多数でした。
若い衆が特に気になっていたのはiphone/ipadと繋ぐだけで簡単にクレジット決済が可能になるSqueare。USスタバで導入されて話題になったスタートアップのやつです。Ona Fes物販でもクレジットカード決済対応してるところ無かった様に記憶してますがこれは凄く良さそう!手数料も安いのでアンダーグラウンド界隈で音楽フェスに出店する方にも是非おすすめしたい。(写真参照、めちゃ小さいです。これをiphoneに差すだけでクレジットカード読み取りに使えます。)
自分の普段触れない世界に触れるととても刺激になります。soundcloud,bandcampに続く日本版のサービスも気になったな〜〜。


という内容でFBに投稿しましたが、自分達がいるシーンって善意で成り立っている部分が多いかわりに世の中の流れに遅れている部分も多くて。未だに世界最先端のサウンドってアンダーグラウンドにしか無いと思っているからその面白さをどう伝えていくのかは考えたいところです。

※スクエアの機器は基本無料です。ローソンで取り扱い始まっているそうです。ローソン980円ですが、1000円のキャッシュバックがあるので無限ループしましょう。

http://www.lawson.co.jp/service/static/square/


2014/08/28

趣味と実益を兼ねる音楽取引販売(ルールを決めない限り君は敗者となる)

ディストロでもブログでも株の取引でもなんでも良いのだが自分のルールを決めないと敗者になるしかない。なぜならルールを決めない限り、それはただのギャンブルにしかならないからだ。そのルールの精度が高ければ高いほど生き残る確率は高くなる。
音楽取引販売に関して言うなら、入荷する音源の選定基準、枚数、再入荷の閾値、商品一枚あたりの利益率(または販売価格の算出方法)これらを適当にやっているとしたらそれはギャンブルでしかない。ギャンブルでも成功してれば良いのかもしれないが、データが蓄積されないし環境の変化に適応できなくなる。ギャンブルで大勝するのではなく、小さく勝ち続ける。できるかぎり感情を排除してルールに従って判断を自動化するくらいが良い。その上で感情の判断にかける。ルールは常に精度を高くするために作りなおしていく。どうしても入荷したい音源もあるのでそれは例外にすれば良い。
自分でルールを作らなければ、相手のルールに従うことになる。これは人生についても同じ事だ。22時以降の電話には出ない。19時以降は働かない。終了時間の決まっていない遊びには付き合わない。お世話になった人にはとことん付き合う。初めての人と会うときにはその人のことを調べておく。なんでも良いのだがそのルールがあって初めて相手と交渉になる。相手のルールを飲む場合もあるし、こちらのルールを飲んでもらう場合もある。
嫌な思いをしたらそういうことが二度とないようにルールを書き加えていく。失敗したら次回そうならないよう精度を上げていく。ウチは他店舗限定で特典が付いている音源をもう取り扱いたくない。何年も前から変わってない販売店が3割しか利益を取れない決まりもおかしいと思う。しっかり売る努力するレコード屋も努力しないレコード屋も同じ利益率だ。大型店舗に特典をつけたりするバンドやレーベルにもレコード屋のモチベーションを削いでいることについての責任はあると思う。自分だけ勝ち逃げしようとするような人には関わらないようにしたい。

2014/08/08

メタリカ vol.12 『LOAD』...バンド史上最低のアルバムを今、再評価する!!



初めて聴いた当時、まったく何が良いのかわからなかったこのアルバム、しかし今改めて再評価してみようではないか!

という気持ちで久しぶりの投稿ということで改めて聴きなおしています。
もう既にリリースから幾年も過ぎてメンバーの心境も変わって来ているようで今では「『LOAD』『RELOAD』のときは何て言うか、集中力がなかったよね〜」みたいなことをラーズも語っているわけで、ライブのセットリストからもほとんどの曲がすぐ外れてしまっているという事実からもバンドにとってもリスナーにとってもあんまり良い思い出ではないアルバムですよね。というかこの時期既にメタリカの創作意欲は下降気味。セールスは相変わらずモンスター級だけれども同時期のメガデスやスレイヤーのほうは作品としては良いものを生み出している。作品の出来で評価されているわけでないという証明でもあるわけですが。

ブラックアルバムと比べてもサウンドのビジョン、アイデアも全く不十分と言わざるを得ない。メタリカ脳になっている自分としてはこういう不完全な作品も残してしまうところが人間らしくて良いなという感想です。ただ良い曲もあります。「Hero Of The Day」は新たなメタリカのサウンドを描き出しいるし、「Mama Said」は両親が離婚し、母親も早く死んでしまったジェイムズの過去が反映された美しい曲になっていてこの曲だけクオリティが段違いになっているのが驚きです。良い曲もあるけれどもアルバムとしてはやはり評価できない。

このアルバムから得られることは新しければ何でも良いわけじゃない。メタルの伝統を踏まえた上で新たな価値観を提示できなければそれは駄作にしかならない、ということくらいでしょうか。やはりメッセージがないんですよねぇ...

2014/06/09

メタリカ vol.11 『METALLICA』売れた・・・!めっちゃ売れた!



めっちゃ売れたメタリカのタイトル無し、というかセルフタイトルアルバム。
全世界で3000万枚以上売れまくったアルバムでありバンドの人気をメタルだけでなく多くのロックファンや一般層にまで広めた怪作。通称「ブラックアルバム」。
実質セルフタイトルアルバムですが、1stアルバムでないセルフタイトルアルバムというものは大変危険な代物でして、というのは1stでないセルフタイトルの場合はバンドの一念発起や再出発時に採用されるケースが高くその多くは残念な駄盤フラグとなっているのが現実。多くのバンドがセルフタイトルで新たな音楽性を打ち出し、散っていきました。そんな中メタリカのブラックアルバムも新たな音楽性を打ち出したものでしたが世界で大成功をおさめることができました。
その新たな方向性とは、BPMを落とし、より音楽性を拡げた楽曲、そして新しい重さの解釈を提示したものでした。前作でまとまりの無かったバンドがボブロックの下、本当に新たなバンドとして生まれ変わったアルバムであり新たな方向性について何ひとつ迷いのないバンド、サウンドチームを含めた全員の結束の固さを感じさせます。カークのソロもいつも以上に手癖ですがそこにはもう何も迷いもありません。しかし、その方向性が本当に新しかったのかと言われると実はそうではなくMaster Of Puppets期からBPMを落としたり新たな楽曲のアプローチを試してみたりということはしていました。それでは何が違うのかというと、新たなフェイズに入ったということをはっきりと提示しスラッシュメタルに公に別れを告げたということに他なりません。バンドの方向性とその効果を最大化するためにマネジメントサイドはアルバム制作過程を記録し続け、後にドキュメンタリー映像作品として発表していますがこれもアルバムを何かすごいものであるように見せる仕掛けでもあります。制作過程を見せることで、オーディエンスの感情移入を促すというやり方は後のSt.Angerでも採用されており、そのドラマを見せることでアルバムを体験するリスナーにとって作品は物語性のあるものになります。
それがなくともこのアルバムには多くの仕掛けがあります。またギターリフのひとつひとつが本当にキラーでサウンドも多彩、演奏はパワフル、オリエンタルなメロディーも"意図的に"多く導入されています。そして今まで以上にヘヴィで激しいサウンドながら楽曲に普遍性を与えポップに聴かせる、という速くないのにめちゃくちゃ重い激しいという新しいヘヴィネスの概念を提唱するという偉業を成し遂げたアルバム。スラッシュメタルではありませんが、リフも楽曲も一切の無駄がなくその一瞬一瞬が素晴らしい輝きを持っており純粋にヘヴィなロックとして今聴いても色あせていないのが驚きでしかない。以降のストーナーメタルやニューメタルとも関係性が深くメタルをある意味でポップなものにしてしまったという意味では罪深いアルバムであり、またスラッシュ時代の終焉を見越していたのかもしれません。
・本作から学べる教訓としては、常にシーンの新たな概念を提示しろ。
ということなのかもしれません。新たな概念はすなわち新たなルールとなり、ルールを制定した者がそのゲームを制することになるからです。それがメタリカが勝ち続けてきた理由のひとつでもあります。