2020/11/26

envyは村上春樹、killieは村上龍

 ってことを今日思いついたので、killie買ってくれた方へのコラムで書こうと思う。

でも現時点でブツが届いていないから何も書けないという。
はやく届かないかな。

なんかもう何も書けない状態なので、かわりにメガデスを聞いてもらうというシステムを考案したんですが、それでもオーダーが入るのがkillieシステム。
すごいファンダムを抱えていると思うわ...。

たぶん1曲でも4,5個の軸を思いつくと思うので、それらをテキストに落とし込んで配信しようと思ってます。

2020年のベストを決める前に、killieは聞いておきたい。
そしてenvyのアルバムを今週聞き直していたのでそのあたりも更新していきたい。

結局のところ、「問い」の質と試行の回数の差なんだと思ってる。
「Alternative」っていうのは選択肢という意味でもある。
選択肢を探求できるのかがこのジャンルの肝であり、現行のScreamo/Skramzの定義でもある。選択肢を探求することなくいわゆる"正解"とされる「envyスタイル」を選びとっていったすべてのバンドに僕は興味がない。

そのあたりのお話。


2020/11/16

インタビュー反省会会場

メディアのインタビュー記事で最近面白いものってありますかね。

インタビューって昔から好きなんだけど、それは自分の最近やり方が変わってきたからかもしれない。

Interview with Algernon Cadwallader


2010年の初期、Algernon Cadwalladerにインタビューした人、日本人にいなかったと思うんだけど、このインタビューだって今読んでみると「なんでその先をつっこまないの!?」って回答いっぱいもらっていて、やっぱ会話と違ってメールでのインタビューのやり方を確立できていなかったんだと思う。
「自分がどういう問いを持ってそのアーティストと対峙するのか」
このテーマがあるかないかでインタビューの質がまず変わってくる。
ほとんどメディアのインタビューがつまらないのはそのせいで、特にもう廃刊してしまったいくつかのフリーペーパーもやっぱりそういうインタビューが多かった。常にその問いがあるか、と言われるとわからないけれど何かしら確かめたいものがあるからこそインタビューは成立するとすら思う。
いや、ちがうかも。多くのメディアのインタビューがつまらないのはアーティストとインタビュアーの力関係が出来上がっていて、基本アーティストを褒めるだけの記事になってしまうだけだからかもしれない。なんかさー、持ち上げ持ち上げばっかの記事読んでても面白くないじゃんって思う。
みんなB!誌を馬鹿にしてるようにみえるけど、あの雑誌は良いインタビューたくさんあったんだよなとおもう。あとSNOOZERも。で、最近過去90年代〜00年代のEAT Magazineも集めたりしているんだけど、インタビューの質はあまり良くなかったりする。でもそういう記事の中に当時の空気感とか価値観とかがにじみ出ているとそれはそれで面白い。
自分のが面白いわけじゃないんだけど、ほとんど参考になるインタビューっていうのに出会えることは少なくて、自分で答えを見つけるしかないんだろうなって思う。
未熟だったけどAlgernon Cadwalladerの当時の受け答えの中にローカルシーンの動きがすこし見えてるのが良かったかもしれない。

Interview with Alec Yuzhny(Bicycles for Afghanistan)
https://note.com/3la/n/ne402c42cedce

そういうわけで、BoneflowerとかViva Belgradoとかもそうだったんだけどなんか他人がどうこうがだんだん関係なくなって自分が聞きたい話を確かめていくこと面白さを勝手に見出している。
そしてBicycle for Afghanistanもそうだった。音楽だけ聞くとポップパンクだし、そこにシリアスな要素はないんだけど、バンドのヒストリーやそこに込められているメッセージを「自分が勝手に受信している状態」になっていたので、それを確かめにいった。
歌詞には書かれていないメッセージが少しずつ受信できるようになってきているのかもしれない。それは大いなる勘違いの可能性も大で、FANGEにぶつけたインタビューはことごとくひっくり返されていたりする。でも自分が問いを持っていれば、自分は面白いので良い。

GUEVNNAのインタビューは毎回長く話すんだけど、毎回文字起こしが死ぬほどめんどくさい。だけど、最近はもう音声でいいじゃん!って気づいて音声にしたら死ぬほど楽になった。会話のニュアンスも伝わるし。
で、もうひとつはテキストのインタビューって読まれずにRTされるのがめっちゃ嫌になってきてて、SNSで拡散されてるものって本当に「読まれてない」って思うので、音声で本当に聴いた人しか伝わらないくらいでちょうどええわって気持ちになっている。
かつyoutuber的な15分とかでインスタントに終わるものじゃなくて、がっつりと雑談を混ぜたもの。自分が向かっているところはいわゆる大衆的なものなんじゃなくて、濃いもの、やばいもの、そういうものを求めている人たちがいるところなんで楽に受容できるものはいらない。

bandcampやspotifyでも音源は聞ける。けどそれは入り口だ。


ラジオの録音環境も最近変えて、マイクを1本で全体を拾うんじゃなくて、ゲストが来たときは完全に個別マイクを用意するようにしてます。
収録は出張して録音してるのがほとんどなので、持ち運び可能なマイクと、ミキサーも揃えて、ようやくいい感じになってきてます。
マイク複数になっても手元で調整して一本にまとめれば機材も軽くて助かりますよ。

BEHRINGER MX400

これで複数人の音声を一本にまとめて


ammoon ステレオヘッドフォンアンプ 超小型 4チャンネル ミニ オーディオ 電源アダプター付き HA400
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こちらで全員でヘッドホンの音声をモニタリングしながら収録する

これでだいぶ楽です。










2020/11/14

貧乏時代が生んだ悪魔的発想


 

ディストロを始める前の話ってあまりしたことないんだけど、それは聞かれないから。

2010年よりも前の話、時は2000年代、平成の時代。結局何にも成れなかった僕は誰かの言葉を鵜呑みにしてPHPというプログラム言語を齧り、時給1500円のアルバイトを始める。

当時はPHP自体珍しいわけでもなくなっていて、かつてのようにそれだけで高給とれることはなかったけど「PHPができます!」と嘘をつくだけで仕事にありつける牧歌的時代。さらにたまたま評価されてしまい時給があがり、アルバイトにして手取り30万という謎の貴族にジョブチェンジしてしまう。人生で一番金持ちや〜、と浮かれているのもつかの間、IT業界にいるのがつらくなり精神を病みそうになり辞職。そこから金が徐々に減っていくのだが、しかしいつまでたっても本気を出しきれない性格により状況は悪化。ついにはその日暮らしみたいな生活になっていく。

そんな状況でも真剣に金を作ることに向き合わなかったのでまともな仕事はできず、しかしインターネットのおかげで音楽や情報だけは享受していた。いつものように金が無さすぎてさすがに私物のCDを売ろう、ということでヤフオクに出品しまくっていたのだが、ふと思いついてしまう。このDVD、コピーして売れるんじゃないか?

それは海賊版DVDを売っている店で買った有名な海外バンドの日本でのライブ映像のDVDだった。2000年代の前半期くらいまでは海賊版VHSもあったけど、2000年代中頃になってくるとすっかりソフトはDVDになっていた。DVDのコピーはパソコンがあれば簡単にできる。しかもジャケットだって店で売っているのは紙だったし、そもそも本体の盤だってDVD-Rだった。つまりその店で売られているのは海賊盤だったのだが、自分はその海賊盤の海賊盤を作ってしまおうという悪魔的発想だった。相手も違法なので自分がその相手から訴えられる心配もないと判断した。

思いついたので実際にやってみると、DVD-Rのコピーは調べるとフリーソフトだけでできた。盤面は実物をスキャンして、CD円盤専用のシール印刷でできた。そしてジャケットはコンビニのカラーコピーでそのまま実寸で作れた。DVD-Rを含めて原価200円くらいの海賊盤DVDをヤフオクで売った。注文が入ったら自分のコレクションからコピーして発送するだけ。リスクなし。売れた。しかも相手から感謝までされた。

明日生きる金にすら困っているので当時はモラルなんてものはなかったですが、そのスキルが今に生きてるとは言えません。そしてこのグレーゾーン(というかブラック?)なビジネスもヤフオク側の権利に対する取り締まりが強化されるというシステム側のルール変更によりあえなく撤退となりました。

教訓としては、行政やシステムのルール変更によりそれまでのビジネスって結構あっけなく崩れるんだよなーということ。でもお客さんと有機的に関係を構築していくビジネスってそういうルール変更があっても影響は小さいんですよね。

これで食えてしまってたら今どうなってるかわかりません。

2020/11/09

140文字でレコード売る悪魔のスキル

 

いつかは行ってみたいNYのlimited to one records。
Larry Recordsとのコラボもしていたのがすごく意外だった。

他人のディストロとかSNS投稿読んでいて買おうと思うものってなんだろうと考えてみる。
twitterをベースにして考えると140文字でその人が買いたいと思うかどうかの勝負になっているんだろうなって思う。

  1. 紹介してる人が強烈な思いのあるパターン
    その人個人がそのレコード、アーティストに対して強烈な思いを持っていてそれが納得感のある場合。逆に納得感がないと「何言ってんのコイツ?」で終わる。その人の売りたい思いとか紹介したい思いってどうでもよくね?っていう気持ちはあるので若干ブーメランではあるんだけど、自分に権力/人気がないのであれば強烈な思いだけで押し切ろうとするのはあまり良い方法じゃないかも。
  2. 紹介文のスキルで押すパターン
    ぜんぜん知らないバンドでも興味をひかれたら買ってる。海外のFB投稿を目にしてbandcampで買うのはだいたいこれ。そのときの自分の考えている事柄と問題意識がリンクしてたりすると絶対買ってるかもしれない。これはほぼコピーライティングの力なんだと思う。1文目がおもしろくないと2文目は読まれない。めっちゃ文章おもしろかったら絶対気になってしまう。これはありえないキーワードの組み合わせとかでもハッとなる。
  3. 情報量で伝えるパターン
    まぁでも調べればわかるような客観的事実って情報としての価値ってほとんどないんだろうなって思うので、このあたりの情報があってもそんなに意味ないかなと思う。最新作なのか今年の作品なのかくらい?140文字の勝負と考えると、キラーな情報以外って実はノイズかもしれない。それなら「最高」だけのほうが買いたくなる可能性すらある。
  4. とにかく映えるパターン
    アートワークがかっこいい、マーチのシルエットがかっこいい、センスがいけてる。これって文章で伝える必要がない視覚的な情報なんだけどだからこそ強い。
なんかいろいろ考えたんだけど、やっぱりこのディストロ仕事の核って悪魔の仕事だと思うんだよな。
ビジネスマンの営業トークで機能とか性能とかコンセプトをまくし立てるんじゃなくて、買うか買わないか迷ってるやつらの耳元でそっと「....買っちゃえよ、来週給料日じゃん」って囁く仕事。だからこそそのささやく一言は一撃必殺じゃなければならない。

140文字にとらわれて文章うめようとした時点で負け。
これはやつらを沼に引き摺り込む悪魔の仕事だ。

2020/11/05

USに大統領選の感想残しとこ


 USの大統領選の感想というかメモを残しときます。

  1. バイデン vs トランプ
    ぼくはトランプが勝つと思ってる。バイデンに勝って欲しいけど。
  2. 選挙前から無法バトル展開すげえ
    日本の常識からすると「そんなのあり?」の連発。
  3. 意外と接戦じゃん
    もっと楽勝でトランプになるかと思っていた。
  4. USの選挙は右左じゃない。
    というか選挙は右左じゃない。
  5. 何と何との戦いにしていくか
    これがデザインやコンセプトの話の参考になると思う。
    日本の左翼が負ける理由にもつながってる
    この4年間なにしてきたんだろう?その結果がこの数字?
  6. ロシア中国とかいろいろな問題
    中国に経済的、軍事的、そして人権的な問題に立ち向かえる人いるの
    という観点で必ずしもバイデンが良いとは限らない。
明日どうなるんだろうね。


このアスペクト比あたらし!って思った。

2020/11/03

Frail Bodyのライブ動画がDeathwishよりアップされていた

Frail Bodyのライブ動画がDeathwishよりアップされていた

やっぱりTouche Amoreとか大御所になっていったバンド達と比べると圧倒的に再生数が伸びないんだけど僕は好きだな。
気になるのはなんでこのタイミングで?ってところなんだけど新作のアナウンス等は無いみたい。実験的な要素があるような気がする。 Deathwishもライブイベントは減ってもレコーディング自体はできるというKurt Ballou氏のスタジオと連携して制作はしていけるし、こういった無観客なライブ映像なら結構生み出せると思う。

そんなことを思って映像と録音のクレジットがあるから検索してみたけど、もしかしたらそんな流れは関係なくて仲間同士のノリでバンド側が作ってる可能性もありそうだった。
若いパワーがあるってのもあるけど、やっぱUSの土壌というか、音楽が音楽だけのコミュニティーじゃなくて撮るひと、録る人、発信する人、いろいろ役割を演じながらそれぞれがプレイヤーみたいな、層の厚さは感じる。


あと関係ないんだけど、今日これ聴いてめっちゃいいじゃん!ってなりました。




2020/11/01

Soul Glo、ScreamoとHIPHOPの横断、意図的なミックスと直感的で動物的な嗅覚。

Soul Gloの最新作はSecret Voice(Touche AmoreのJeremyのレーベル)からのリリースとなり、つまりDeathwish流通となり多くのリスナーの耳に届くことになった。再入荷しようと思っていた過去作品もレーベル側でソールド続出して再プレスの工程に入っているらしい。

どうしても人種の問題になりがちなSoul Glo、そしてSvalbardと同様ポリティカルな面での正しさが前面に押されてしまうあまり音楽について語られなくなる危険はつきまとう。

でもSoul Gloの音楽とポリティカルは切り離せない。
Stereogumの記事では、一方で彼らの歌詞のユニークさにも触れているのがよかった。(ライターが黒人なのかもしれない)
そして20年前に見たというYaphet Kottoにも触れている(ギタリストが黒人だった)
「なんで別の黒人パンクとプレイするためにわざわざヨーロッパまで行かなきゃいけないんだ?」 
Soul Gloの登場は、実は黒人ハードコアの再来を待つ人々にとって希望だったのかもしれない。

ギターサウンド、ScreamoとHIPHOPの横断、意図的なミックスと直感的で動物的な嗅覚。

白人と黒人の間にあるものに対して歌われることもあれば、黒人同士に歌われる思いも込められてる。

自分は日本にいて彼らを聴いてる。自分が対象に含まれている歌っていうのは、実はあまりない気がしてる。

https://www.stereogum.com/2103784/soul-glo-songs-to-yeet-at-the-sun-review/franchises/columns/sounding-board/