2020/11/14

貧乏時代が生んだ悪魔的発想


 

ディストロを始める前の話ってあまりしたことないんだけど、それは聞かれないから。

2010年よりも前の話、時は2000年代、平成の時代。結局何にも成れなかった僕は誰かの言葉を鵜呑みにしてPHPというプログラム言語を齧り、時給1500円のアルバイトを始める。

当時はPHP自体珍しいわけでもなくなっていて、かつてのようにそれだけで高給とれることはなかったけど「PHPができます!」と嘘をつくだけで仕事にありつける牧歌的時代。さらにたまたま評価されてしまい時給があがり、アルバイトにして手取り30万という謎の貴族にジョブチェンジしてしまう。人生で一番金持ちや〜、と浮かれているのもつかの間、IT業界にいるのがつらくなり精神を病みそうになり辞職。そこから金が徐々に減っていくのだが、しかしいつまでたっても本気を出しきれない性格により状況は悪化。ついにはその日暮らしみたいな生活になっていく。

そんな状況でも真剣に金を作ることに向き合わなかったのでまともな仕事はできず、しかしインターネットのおかげで音楽や情報だけは享受していた。いつものように金が無さすぎてさすがに私物のCDを売ろう、ということでヤフオクに出品しまくっていたのだが、ふと思いついてしまう。このDVD、コピーして売れるんじゃないか?

それは海賊版DVDを売っている店で買った有名な海外バンドの日本でのライブ映像のDVDだった。2000年代の前半期くらいまでは海賊版VHSもあったけど、2000年代中頃になってくるとすっかりソフトはDVDになっていた。DVDのコピーはパソコンがあれば簡単にできる。しかもジャケットだって店で売っているのは紙だったし、そもそも本体の盤だってDVD-Rだった。つまりその店で売られているのは海賊盤だったのだが、自分はその海賊盤の海賊盤を作ってしまおうという悪魔的発想だった。相手も違法なので自分がその相手から訴えられる心配もないと判断した。

思いついたので実際にやってみると、DVD-Rのコピーは調べるとフリーソフトだけでできた。盤面は実物をスキャンして、CD円盤専用のシール印刷でできた。そしてジャケットはコンビニのカラーコピーでそのまま実寸で作れた。DVD-Rを含めて原価200円くらいの海賊盤DVDをヤフオクで売った。注文が入ったら自分のコレクションからコピーして発送するだけ。リスクなし。売れた。しかも相手から感謝までされた。

明日生きる金にすら困っているので当時はモラルなんてものはなかったですが、そのスキルが今に生きてるとは言えません。そしてこのグレーゾーン(というかブラック?)なビジネスもヤフオク側の権利に対する取り締まりが強化されるというシステム側のルール変更によりあえなく撤退となりました。

教訓としては、行政やシステムのルール変更によりそれまでのビジネスって結構あっけなく崩れるんだよなーということ。でもお客さんと有機的に関係を構築していくビジネスってそういうルール変更があっても影響は小さいんですよね。

これで食えてしまってたら今どうなってるかわかりません。

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